蜜柑日誌
蜜柑日誌
2020.07.16
オーナーの豆知識
以前、伊藤家の金峰みかんの美味しさの秘密を皆さんにお伝えしましたが、
今回はまた別の角度から、美味しさの秘密をご紹介させて頂こうと思います。
じつは、秘伝の肥料だけでは伊藤家のミカンは美味しくなりません。
車で例えるならエンジンがしっかりしていてもタイヤが悪ければ燃費が悪くなるし、
制御も難しくなります。
剪定(枝を切る作業)が出来ていないと日の当たり具合が悪くなり、色付きも悪くなる。
それでは満足なミカンには程遠くなります。
この状態で秘伝の肥料を散布しても、100%にはならないと言うことですね。
伊藤ミカン園ではあくまでパーツであるという考え方です。全てを満足にしないと1つだけ頑張っても効果が薄い。
そのパーツの1つとして石灰と硫黄があります。
石灰と硫黄がどのようにして美味しさの秘密であるパーツになるのか、これらには大きく分けると2つの利点があります。
1点目は乾燥しやすくする効果です。皆さん「水分ストレス」という単語をニュースなどで聞いたことがある方もいらっしゃるかも知れません。単純に水分を制限するということですね。
乾燥し水分が少なくなると、ミカンの木自身がしっかりしていないと枯れてしまいますよね。
そうすることで凝縮され、甘みが増すとされています。
当たり前ですが、極端に水をあげないと枯れますので、そこを見極めるのが大事です。
2点目は害虫を撃退する効果です。以前カメムシなどの対策をご紹介しましたが、残念ながらカメムシは石灰では倒せません。
これはダニや、あまり皆さんは馴染みがないと思いますが「カイガラムシ」といった害虫が効果を発揮してくれます。美味しくもなり、害虫にも効果を発揮するので石灰は良く使いますね。
ただ1つ、石灰と硫黄を散布すると誤解されることがあります。まずは画像を見てください。
石灰と硫黄を散布し乾燥すると、ミカンに白い粉が付くことがあります。マンガでも説明してありますが、単純に言うと温泉の成分と一緒なんです。
ミカンを出荷する際に、選果機で白い粉を落としてあげるのですが、ヘタなど窪んでいる部分が完全に落ちない場合があるのです。
水などで綺麗にすることも考えましたが、ミカンは収穫したものが濡れてしまうと腐れが早まってしまい、皆さんのお手元に届くころにダメになっていたということになりかねません。
もしスーパーでそういったミカンを発見しても安心してくださいね。むしろ、程良い甘さと酸味のバランスが整った、美味しいミカンを手に入れることができるかもしれません。
育った環境が違いますし一概にいえませんが、こういった美味しさの秘密は他にもありますので、またご紹介させて頂ければと思います。