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蜜柑日誌

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2020.06.17

オーナーの豆知識

美味しさの秘密(1)

今回は伊藤ミカン園が美味しいミカンを育てるために行っている工夫をご紹介しようと思います。

美味しいミカンといっても、漠然としていてよく分からないと思う方も多いのではないでしょうか。分かりやすい指標として「糖度」や「酸度」などが挙げられます。

そこで今回は、伊藤ミカン園が「糖度」と「酸度」に対してどのようなアプローチを取っているのか、少しばかりご紹介できればと思います。

熊本県和水町の伊藤ミカン園の金峰みかん

◆糖度について

糖度を上げるためにこれまで、自然由来で当園独自の秘伝の肥料を、試行錯誤を重ねながら作って参りました。

熊本県和水町の伊藤ミカン園では金峰みかんの美味しさを糖度を上げることで実現

材料はブドウ糖(グルコース)を含む食品と、別の成分を配合して使っております。皆さんのご家庭にどこにでもあるような、ごく普通の食品です。

あまり詳しく話せない部分が多いのですが、ブドウ糖を細かくして別の成分を追加配合し、吸収を妨げるものを排除してあげます。それで完成です。

熊本県和水町の伊藤ミカン園が美味しい金峰みかんを育てる肥料をつくるためのはかり

じゃあこれをたくさん散布すれば、とても甘いミカンができると思ってしまいそうなのですが、そう簡単ではありません。

糖度を上げると、それだけの負担をミカンの木にかけてしまうので、散布のしすぎは木を弱らせ、枯らしてしまう原因となってしまいます。

そもそも金峰ミカンは、実のなった翌年の収穫が少ない、もしくは収穫できないといった隔年性があり、作りにくい品種のため、気を付けないと収穫量が極端に少ないということになりかねないのです。

人が何かを摂取しすぎることで具合が悪くなってしまうことに似ていて、何でもやりすぎは良くないんですね。

熊本県和水町の伊藤ミカン園が美味しい金峰みかんを育てるために散布機で肥料をまいている様子

ほかにも糖度を上げるために、根から養分の吸収を妨げる方法などがありますが、この方法では木が痛んで早く枯れてしまうため、数年しか木が持ちません。

毎年ミカンの苗を植える必要が出てくると、収穫できない木ができるため、広大な面積が必要となります。また労力が何倍もかかるため、伊藤ミカン園ではできません。

熊本県和水町の伊藤ミカン園が美味しい金峰みかんを育てているミカン山

◆酸度について

基本的に糖度が高いものは酸度も高い傾向にあるのですが、そのままにしておくと酸っぱいミカンしかできませんので、対策が必要です。

逆にいえば、糖度がそもそも低い品種は、酸度も低い傾向にあります。

材料はミネラル分が豊富な食品と、別の成分を配合して使っています。これもまたご家庭にある普通のものです。

熊本県和水町の伊藤ミカン園が美味しい金峰みかんを順調に育てている様子

ミネラル分を細かくして、別の成分を追加配合し、2~3週間ほど発酵させることで完成します。これを数回に分けて使ってあげると、酸度を下げることができます。

また酸度を下げるだけでなく、収穫後、木の元気を取り戻すときにも使えるので、1年中お世話になっています。

熊本県和水町の伊藤ミカン園が美味しい金峰みかんを収穫する直前の様子

やはり、基本的に木が弱って枯れるような事態にはしたくないと考えています。

アメとムチではありませんが、適度な「ストレス」と「休養」をミカンの木に与えてあげることで、枯れたりせず収穫を続けていけることが理想です。

自然由来の成分で安全安心なミカンを育てていけるよう、これからも研究と観察を続けていきます。

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