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蜜柑日誌

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2020.06.10

オーナーの豆知識

葉の成長を促す「摘心(てきしん)」

今回は、ミカンの苗に対して行った「摘心(てきしん)」についてご紹介しようと思います。摘心とは茎の先をカットして、葉の成長を促してあげることをいいます。

まずこの画像をご覧ください。
熊本の伊藤ミカン園が育てる金峰みかんの葉が順調に育つ様子

葉が順調に育っています。特に問題は無いのですが、ここで摘心を行います。ミカンの場合、この摘心をしてあげることで成長を促し、葉を丈夫にすることができます。

葉を丈夫にすることのメリットは3つあります。

1つ目のメリットは、葉が虫に食べられにくくなるということです。葉が弱い状態だと虫は構わず食べてしまうのですが、葉がある程度固く成長していると、食べることができなくなるんです。

事実、成長したミカンの木の葉を見ると、虫食いってあまり見られない光景なのです。

そして成長を促すために摘心した画像がこちらです。
熊本の伊藤ミカン園が育てる金峰みかんの葉を摘心したあとの様子

中央部分の先がカットされています(赤で囲った部分)。

先端をカットしてあげると栄養が先までいかなくなるので、葉が早く成長し、固くなるんです。今は柔らかいですが、何もしない場合と比べて成長が格段に違います。

2、3年後にはミカンの苗を山に移植することになるので、ある程度葉が成長した苗の方が、都合が良いというのも理由です。

成長が早いことは良いことです。これが2つ目のメリットです。

熊本の伊藤ミカン園が金峰みかんの苗を植える様子

そして3つ目のメリットは、夏芽が早めに出やすくなるということです。

摘心で栄養の流れを止めることで葉が強くなり、害虫にも食べられにくい状態になります。それにより、新しい葉の子供である夏芽が早めに出てくるという訳です。

そのままでも夏芽は出るのですが、摘心で強くしているものよりは若干弱いかなと思います。「そんなの誤差では?」と思われるかも知れませんが、伊藤ミカン園ではこの誤差をとても大切にしています。

やはり将来の主軸になってくれる訳ですから、良い苗にしてあげたいです。そういった意味では、苗を植えた時点から収穫に向けた行動はもう始まっていると思います。

また夏芽の他に「春芽」「秋芽」「冬芽」といって葉ができるタイミングは年4回あるのですが、全てが繋がっています。扱いが悪いと芽が枯れたりしてしまうので、それではもったいないです。

率直にいってしまうと、何もしなくても収穫できます。でもそれはキズがついたり酸っぱかったり、商品レベルに育っているかどうかとは別の話です。

摘心もそうですが、高接ぎや剪定作業にも同じことがいえます。

熊本の伊藤ミカン園が金峰みかんの木を高接ぎする様子

枝を切ったり、先端をカットする作業は、一見美味しさに直接関わらない感じですよね。

肥料についても、誰もが分かりやすいところに目を向けがちですが、自然の力だったり、自分で頑張らないといけない想いをミカンの木に持たせる方が、美味しいミカンができるんじゃないかと考えています。

もちろん肥料なども大事です。

そこを含めて色んな可能性を追求しながら育てていくことができれば、より美味しいミカンが育つのではないか?と妄想しながら毎日仕事をしています。

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