蜜柑日誌
蜜柑日誌
2020.05.10
今日の伊藤ミカン園
ミカンの実がどのように育つのかよく分からないと、先日友人から質問されました。
収穫された状態でしかミカンを見たことのない方が多いかと思いますので、漠然としていてよく分からない「ミカンの花」についてご紹介させて頂きます。
ミカンを収穫するまでのプロセスは、実は2種類あります。芽が出てきて花が咲く場合と、芽が出ずにいきなり花が咲く場合です。その前に「芽」とは何ぞやと。
1枚の写真をご覧ください。
上の部分に白い花があって、隣に小さな葉が見えると思います。これが芽。大きくなると葉となり、ミカンの木を支えてくれます。そして下の方をご覧いただくと、芽が出ていないのに花が咲いています。
単純に2種類の花の咲き方が、この写真で分かると思います。
何か違いがあるの?と思いますが、一般的に言うと、後者の、芽が出ず花が咲いている方が美味しくなる傾向にあります。理由は「栄養の伝わり方」にあります。
芽は大きくなって葉になりますが、芽があるとそこに栄養が集中するため、ミカンの実が大きくなってしまいます。大きいと「味が大雑把」になってしまう傾向が強いのです。
それに対して芽が無いと、芽がある時と比べて栄養が行かないので、実が大きくならず、ちょうど良い大きさで育ってくれます。そのため「糖度が高くなる」傾向にあります。
これは散布する肥料にも言えるのですが、栄養が多ければ良いと言う訳ではないのです。
ただ、この芽の違いは、伊藤ミカン園にはあまり当てはまらないかなと思います。
理由は剪定(枝を切る作業)などで調整しているからです。万全とは言えませんが、芽があっても剪定のやり方によってこれまで対応してきました。
特に伊藤ミカン園が育てている金峰みかんは、隔年性(今年なると来年ならない)が強いので、この点に注意して秘伝の肥料と剪定で毎年花が咲くように努めています。
ちょうど「ミカンの花」が咲く時期でしたので、今回ご紹介させていただきました。
品種によって違いますが、金峰みかんの場合、伊藤ミカン園では4月終わりから5月頃に花が咲きます。今年は少し遅いですが、順調に準備を進められていることに安心しております。
もう少し時間が経てば次のミカンの状態をお見せできると思いますので、その時期になりましたら改めてご紹介させていただきます。
まだまだ今年のミカン栽培は始まったばかりですので、次回も「ミカンのことについて漠然としててよく知らない」をテーマにミカンについてお話していければと思います。