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蜜柑日誌

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2020.04.22

オーナーの豆知識

伊藤金峰蜜柑の高接ぎ(たかつぎ)

友人や東京の方から「ミカンの収穫以外何をしているの?」とよくご質問を頂くのですが、結論から言いますと、結構色々と「やらなければならないことだらけ」でございます。

収穫は勿論大切で大変ではあるのですが、伊藤金峰蜜柑の質を高い水準に持っていくためには、もうこの時期から色々と目を掛けてやらなければなりません。

一度に色々言っても「なんじゃそれ?」となってしまうと思いますので、今回は高接ぎについてご紹介します。

熊本・伊藤ミカン園での金峰みかんの木への高接ぎ

ミカンの木の育て方として、苗を植えて大きくしていく方法と、高接ぎという2つの方法があります。前者は果樹専門の業者さんからミカンの苗を購入し植えるだけ、こちらは単純です。

後者の高接ぎですが、穂木(ほぎ)と呼ばれるミカンの枝(5センチくらいでしょうか)を切って、ミカンの木に切れ目を入れます。そして、そこに穂木を差し込み、特殊なテープで枝が動かないように固定します。すると、その穂木から芽が出て花が咲いて、ミカンが収穫できるというわけです。

前者だと植えてから5年くらいは収穫できないのですが、後者の高接ぎは、早ければ1年後には収穫が出来るものもあります。ここで1つの疑問が生じます、高接ぎなんかせず苗から植えれば良いじゃないと。1本1本高接ぎするのは時間が掛かりますよね、当たり前のことです。

熊本・伊藤ミカン園での金峰みかんの木への高接ぎ

これをやる理由としては、他のミカン農家さんの場合、現在の品種が育てづらいとか収穫量が少ないとか、そういったデメリットを解消するために行うことが多いように思います。

現在あるミカンの木を台木(だいぎ)にするんですね。例えると、今ある金峰ミカンの木にデコポンの穂木を高接ぎしてあげると、デコポンが収穫できる様になるわけです。もちろんその結果、金峰は収穫できなくなる訳ですが・・。

それでは伊藤ミカン園も「育てづらいから」、もしくは「収穫量が少ない」から伊藤金峰蜜柑をあきらめたのか?と思われるかもしれませんが、そうではございません。父と私は色々と研究しておりまして、今回はその実験をしているのです。

もうすぐ熊本・伊藤ミカン園の金峰みかんの収穫期

その実験となるミカンの穂木はもちろん金峰です(伊藤ミカン園独自で育ててきたミカンを伊藤金峰蜜柑、それ以外のミカンを金峰とします)。

金峰といっても実は何種類かに分かれているのですが、伊藤ミカン園の金峰は、大学と研究して独自に育てたものですので、市販の苗木屋には無いのです。

そもそも研究実験は可能な限り毎年やっておりまして、今回は伊藤ミカン園の育てた伊藤金峰蜜柑と、それ以外の金峰がどのように変化するか、その違いを確かめるべく、高接ぎを行った訳でございます。

そこで得られた実験結果を、今後の伊藤金峰蜜柑の栽培に反映させるのが最大の目的ですので、高い水準を維持するために必要な時間となります。

熊本・伊藤ミカン園の金峰みかんの収穫期

長々と説明致しましたが、1つ1つの積み重ねが、伊藤金峰蜜柑を美味しくします。単純ですが、1つのミスが収穫時に大きなミスとなりかねないので大変です。その一方で、やりがいも感じます。

定期的にミカンのことについて漠然としててよく知らないをテーマにブログを続けていければと思います。
ふと手の空いた時にでも読んで頂ければ幸いです。

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